仁義なき戦い
うちの旦那さんは本と音楽が大好きで、その本とCDと、おまけにレコードの多さにはもう何年も悩まされてきた。
最初の頃は私も作家ごとに本を整理したりしていたのですが、本はどんどん増える一方で、旦那さんが読んではまき散らかしていく本を拾い歩いては、あっちに片付け、こっちに並べ・・・
やがて下駄箱やクローゼットも本棚になり、私の苦手な活字が家を侵食していく。
生まれた子供がこれまた本好きで、本のまき散らかしは2倍となった。
いよいよ腹が立ってきた私は「もう読まない本は処分してちょーだい!」と旦那さんに言うと、「いらない本など一冊も無い」と言う。
自慢じゃないが普段とっても穏やかな我が家だけど、本の事になるとこっちもムキになるが、あっちももっとムキになる。
穏やかではない空気を察知した息子が気を使って、
「お母さん、僕のこの本、捨ててもいいよ。」と二冊くらい抱えて立っている。
気持ちは嬉しいが、そんなもんじゃ屁のつっぱりにもなりゃしねー!
本の数が減らないとなると、今度はCDが憎らしくなる。
シューズインクローゼットにずらりと並んだCDを手に取り、
慌てて目そらしてんじゃないわよ!
とか、
そんな顔したいのは こっちの方よ!
などと、
毒づいてみたりする。
そして数少ない自分の本やCDをまずは処分しようと片付けを始めると、
こんな、本やCDに愛のない私でも、手に取るとちょっとした思い出や、懐かしさやらなんやらかんやらで「あ、これは置いとこうかな」なんて、なかなか捨てられない。
そう思うと、旦那さんにとってはもっと大切なものなんだろうな・・・
私がやってる事はほとんど弾圧だな・・・
他に何を収集するでもなく、浪費するでもなく、そんな人のささやかな宝物を取り上げようとしているなんて・・・
と、ちくっと心が揺らぎそうになるも、
いやいや、この量はささやかとは言えないでしょ!
と、またムカムカムカ。
そんなこんなで繰り返された、子供の手前、口は笑ってるけど目が笑ってないインテリやくざみたいな戦いの結果、
あまり使っていない部屋の壁に、一面本棚を作り付ける&最低限必要なものそうで無いものを振り分けて処分する。
という事で決着はついた。
そして出来上がった本棚!
旦那さんは嬉しそうに本やCDをジャンル別に並べて、眺めてはご満悦の様子。
息子にも1段、専用のコーナーをあげようという事になり、
「ここは悠之介の場所だからねー」と言うと
飛び跳ねて喜び、まるで個室でもあてがわれたような喜びっぷりだなーと
そんな息子をほほえましく眺めていた。
まさか、ほんとに個室として利用するとは・・・。